四畳一間じゃ狭すぎる。

初めておかん&おとんの徒然漫才日記。

コンくんの乳離れ(後編)

前回の記事でも書いたが、紺氏は無類の乳好きである。
こんなことを暴露したら怒られるかもしれないが知ったことか、 彼の画像およびムービーフォルダはフォロワーからAV女優まで幅 広~い女の乳で埋め尽くされており、なかなかエグい。
残念だが彼にスケベな写真を送ったことがある方、 あるいはスケベな写真を撮られたことのある方のあんなとこの色や こんなとこの形はすべてわたしの知るところとなってしまった。
本当に申し訳ないと思っている。
以前パソコンのデータフォルダを覗き見た際には、 まだ付き合う前にわたしとデートしていた時の盗撮写真が何枚もあ ってリアルに頭を抱えた。
という具合で、 はるか過去のデータもとっておき続けるほどに紺氏の乳に対する執 着はすさまじい。
事実、 交際を始めてからというもの一緒にいるときに乳を触られなかった ことは一度たりともない。
そりゃまあ男ともあれば、 女と二人きりになったなら乳を揉まぬという選択肢はないのかもし れないが、なんか、こう、 そういういったエロティシズムとはまた別次元の何かを感じるのだ 。
我が腹に子を宿してみて、その何かの正体がわかった気がする。
彼の乳に対する執着はどこか、 赤子のそれに通ずる部分があるのだ。 もちろんわたしの独断と偏見に満ちた憶測だが。
バブみとか何とかといったちょっと風変わりな性癖ではなく、 赤子が生命を繋ぐため必至になって乳へ向かっていく、 命の営みといったところだろうか。
おふざけやエロとは対極の、 生きることそのものの行為なのではないかと思う。
もうほんと、 わたしは自分の旦那になる予定の男にいったい何を考察して、 そしていま何を言っているんだろうか。
頭を掻きむしりたい。
端的に言えば要はすさまじいおっぱい星人なわけだ。助けてくれ。
乳を触られるのも揉みしだかれるのも突かれるのも舐められるのも 、今となっては別に大したことじゃないが、 まだ子どもを産んですらいないのに添い乳の経験があるってどうい うことなんだろうか。
赤子の顔を見る前から授乳マスターなんて嫌だし、 その練習台が恋人だなんてもっと嫌だ。
そしてそれを許容し、 かわいらしく恥じらうでもなく無表情のまま彼の気が済むまでやら せておくわたし自身にもほとほと嫌気がさす。


以前、「赤ちゃん産まれたらおっぱい赤ちゃんのだよ。 どうすんの?」と尋ねたことがある。
すると紺氏は、至極当たり前のような顔をして「左右で分け合う」 と言いやがった。
赤子と乳を分け合うお父さんなんて聞いた事ねーよ!
きっとこれを読んでくださっている方々には、 おのろけ夫婦の軽いジョークに見えているかもしれないが、 彼はやると言ったらやる男。
こういったことばかりは律義に有言実行してくれる。
絶対にやるので、その時にまたブログにしたためようと思う。
わたしの乳を好いてくれていることは大変光栄なのだが、 これがもっぱら最近の悩みだ。
もうヤフー知恵袋とかに「旦那の乳離れはいつでしたか?」 とか投稿してみようかな。


ところでこれは笑い話なんだが、代々女系が貧血家系で、 どうやらその薄い血を濃く受け継いでしまったわたし。

なんと貧血の祖母や母に倣って母乳が出ないかもしれないらしい。

これだけの乳があって母乳が出ないなんて、もはや詐欺だろ。

産後痩せのためにも、どうか乳よ出ておくれ。

 

そんな感じで、今日もわたしの乳の悩みは尽きないのだ。

コンくんの乳離れ。(前編)


突然だが、乳についての悩みは尽きない。
これまで巨乳キャラを売りにしてウケを取ったりブイブイいわせた りしてきたとはいえ、巨乳は巨乳で悩みがあんのだ。
「巨乳が悩みなんて贅沢な」
という意見は耳が腐り落ちて生え変わるほど聞かされてきた。
そりゃあ乳が大きくなりたいひとからしたら、 わたしのような悩みは贅沢極まりないことだろう。
それでも、そういったひとが乳が欲しいと悩むように、 わたしだって悩むのだ。
わたしから見たら、 DカップとかEカップくらいの非常に最高なサイズの女が
「もっとおっぱいほかった~ぁ」
なんて言っているのを聞くと、何を言いやがる、と思う。
そういうことだ。


さて、そんなわたしの乳悩みの始まりは、 小学校5年生までさかのぼる。
小学校5年生と言えば、男女の間でも体格・ 体系に違いが出てきはじめるころ。
特にも女の子は、 体つきが子どもから女性へと近づき始める最初のステージだ。
わたしも例に漏れずその成長過程を突き進んでいた女子児童の一人 であったが、もうこの時点で周りの女子との間に差を感じていた。
どう見たってずば抜けて乳がデカかったのだ。
ブラジャーだって、 誰よりも早くワイヤー入りのしっかりしたものになった。


そして一つ学年が上がり、 小学校6年生にもなってくると女の子たちはさらにマセはじめる。
周りの子たちも自分の身体の変化を目の当たりにし、 その度合いをこっそり話したり比べあったりするようになった。
そうすると、引き合いに出されるのはわたしの身体だった。
決して大人びた体つきとは言えなかったものの、 それでも明らかに肉感の違う体系だということは自分でも理解して いたし、 悪い意味ではなかったとしてもそれを話題に挙げられることはひど く苦痛だった。
中学生に上がると、それはさらに悪化する。
乳はますます膨れ上がり、 その乳は中学校から一緒になったよく知りもしない子たちにもいじ られるようになった。
まあほとんど信じてもらえないだろうが、 人見知りで友達作りもそれほどうまくなかったわたしはますます引 っ込みがちな少女になってしまったのだった。
あの頃は、 男の子たちが女の子の女の子たる体の部分に触れなかった( ウブだな)ということもあり、 同性からとやかく言われることの方が嫌だった。
体育の着替えの時なんか、格好の餌食である。
おまけに走りでもしてみろ。指をさして笑われた。
痛えーし、笑いものにされるし、 このころは特に乳が大きいことが嫌で嫌でたまらなかった。


高校生になって、長年続けていた競泳をやめたわたしは太った。
それはもうブクブクと。
今栄養を蓄えておかなきゃ死ぬんか、 というほど体は大きくなっていった。
それに伴って、乳も膨らんだ。
この頃になると、化粧を覚え、スカートの丈は短くなり、 髪の色も派手になったせいか良い意味でも悪い意味でも人の目につ くようになる。
そして中学校時代とは違い、 異性からも乳についてヤジを飛ばされるようになった。
以前からいじられ倒していたので、 同じ学校や同世代くらいの男の子になんか言われたところで別にど うってことなかったんだが、 最悪だったのは街中ですれ違いざまに飛ばされるヤジだった。
見ず知らずの男に「おっぱいでけー!」 ってバカみたいに大きな声で言われるのだ。
最近知ったんだが、 これはキャットコールと呼ばれる一種のセクハラらしい。
バカ男の拡声器で、道行く人々の視線は一斉にわたしに集まる。
嫌な汗が全身に噴出したのを今でも覚えているし、 初めてひとを殺してやりたいと思った瞬間でもあった。


そんなこんながありつつ、わたしは大学生になる。
乳のことをいじられたところで、 別に何にも思わなくなるほど図太い女に成長した。
街中でキャットコールを浴びても、「そうでしょ」 とにっこり微笑む余裕さえできた。
大学の友人たちの間ではわたしの乳がなぜか神格化されたし、 それはそれで面白かったし楽しかった。
わたしは自分の乳のデカいことを、 肯定できるようになっていったのだ。
高校生の頃にブクブクと太った体重が25キロ近く落ちて、 なおかつ乳だけ残った(何ならカップ数は大きくなった) 時なんかもう無敵だった。


乳をいじられることによる苦痛はなくなったものの、 かわいい下着がないとか肩が凝るとかオフショルが着れないとか悩 みは尽きない。
そんな中、まんまと乳に一本釣られたのが現在の恋人・ 紺氏である。
ツイッターのDMでの1年近くにも及ぶ熱烈なアピールにお応えし て、満を持して会ってみたらあれよあれよという間に恋仲になり、 そして気が付いたら赤さんまで授かっていた。
まあわたしたちの話はご用命があればそのうちお話するので今回は 割愛する。
最近のわたしの乳悩みのタネは、まさにその紺氏である。
2000字近く書いて、やっと本題だ。

 

 

胎児の頃から悪ガキで

先の土曜日に妊婦検診へ行ってきた。

紺氏は一番初めのころに「できるだけ病院についていく」と言い放って以来、本当にまめまめしくついてきてくれる。

お互いに仕事をしているから検診日はどうしても土曜になってしまうのだけれど、かえってそれが良いのかもね。

そんなこんなで、カンカン照りの道をてこてこ歩いて病院へ向かった。

前回の検診は1か月ほど前。

あのときはまだつわり真っただ中で、徒歩10分程度の道のりも生きるか死ぬかといった具合だった。

それが今や「夏のにおいだねえ」なんて悠長なことをのたまう余裕さえある。

ビバ・つわりの終焉!!

あんなヒトとしての尊厳を根こそぎ薙ぎ払われるような経験はできればもう二度としたくない。

前回は産院を変更したために実質妊娠検査の名目だったので、妊婦検診と自体は今回が初回だった。

血液検査と、子宮がん検診と、超音波検査の三種類。

いちばん初めに血液検査をしたのだけれど、ここでわたしの妙な癖が発動。

というのもわたし、なんでか注射されているところを至近距離でガン見しちゃう癖があるのだ。

針が自分の皮膚に吸い込まれて、薬が注入されたり血が抜かれて行ったりするさまをそれはもうじっとりと見ている。

注射が好きなのかと聞かれたら、たぶんどちらかと言えば嫌いだし、怖いんだと思う。

「怖いんなら目を瞑ってたらいいじゃない」

っていうのをよく聞くけど、その方が怖くない?

どのタイミングで針が刺さって、いつ痛みがやってくるのがわからない方がよっぽど怖い。

そういうわけで今回も例に漏れず採血の様子をねっとり眺めていた。

結構なおばあちゃんの、おそらくベテラン看護師さんで採血がめちゃくちゃ上手だった。

わたしは血管が深すぎる&細いらしく血液検査の折にいつも難儀するんだが、これほどまでに滞りないのは初めてだ。

かつてメンタル病院で検査した時なんて、左右の腕に針をぶち込まれ、血管を見つけられず注射を刺したままぐりぐりかき回された挙句、手首の血管から採血(かなり痛い)をすることになり、おまけに血管付近の神経をばっちり傷つけられしばらくしびれが残った。

それがだ、腕を変えることもなく一発で血管をとらえ、ものの数秒で採決を終わらせてくれた。

もはや尊敬の念を抱いた。あっぱれですおばちゃん。本当にありがとう。

ただ、わたしがあまりにも針を見つめすぎているあまり「大丈夫??」と3回くらい確認されたよ……。

採血で具合が悪くなるひともいるというから気にかけてくれたのだろうけど、ガン見していただけだよ。


しばらく待合室に戻ったのち、再び診察室に呼ばれて残りの子宮がん検診と超音波検査。

ここでは紺氏も同室してよいというお達しがあったので、一緒に入ってもらった。

わたしは先に、別室で子宮がん検診を受ける。

例のあの、ウィーンってお股をおっぴろげられる椅子だ。

妊娠検査の時から何度も座っているし、そもそも変なところが図太いわたしには恥じらいというものが欠如している。

でも正直なところ、お医者さんに対して恥ずかしがったってしょうがなくない?

向こうはきっと、もう飽きるほど見ているんだろうからね…。

もはや鼻すらほじらんくらいの気概でお股おっぴろげ椅子を終え、紺氏の待機する診察室に戻りお待ちかねの超音波検査。

人前(お医者さんと看護師さん)でおなかをベロンと出して寝転ぶわたしを、紺氏が珍獣にでも遭遇したかのような面持ちで眺めやがったのを見逃さなかったからな。

今回から経腹エコーとなった超音波検査。

おなかの中のコツメさんは、エコーを当てられるやいなや何やらもにょもにょ動き始めた。

「あー、ちょうどいま動き出しましたねえ」

とお医者さんが言うが早いか、もにょもにょダンスが鋭いパンチとキックに切り替わる。

それはもう親の仇のごとく殴る蹴る。

もうお母ちゃんとお父ちゃんには「てめえ起こしやがってぶっ飛ばすぞ」のパンチキックにしか思えなかったっス。

身長も体重も順調に増え、成長過程も問題ないよう。

そしてこの動きっぷり。

うむ、元気で何よりだ。


ところで帰宅後、紺氏がこう尋ねてきた。

「別の部屋に行ったとき、透子は何をしてたの?」

わたしは彼に、事細かく子宮がん検診の様子を説明してあげたわけだが、紺氏ここでおなじみのおっちょこちょい発言を発動。

「なんか入れられて、感じちゃったりして」

するわけねえだろ。

うすら冷たい金属の輪っかだぞ。

そんなもんで押し広げられて、子宮口ゴシゴシこすられるんだぞ。

間違いなくお前様はエッチなあれこれの見過ぎだこの野郎。

鉄パイプにちんちん突っ込んで気持ちいいんか貴様は。

…という思いをぐっと飲みこんで「そんなわけないじゃん~」と笑って返したわたしをだれか褒めてくれ。

君の名は

 

「胎児ネーム」とやらをつけるのが流行っているらしく、その流行にあやかり我が腹の赤さんにも何かお名前を付けてやりた いと思っていた。
現在四か月半ば。
しばらく頭を悩ませていたものの、先日めでたくもついにお名前が決まった。
その名も「コツメ」
というのも、わたしの腹とおっぱいに妊娠線予防クリームを塗るのは紺氏の役割 なのだが、その紺氏が例によってクリームを塗布している際に突然「コツメ~ 」と話しかけたのだ。
今日の一言、と称してこれまでクリームタイムに他愛のない一言をかけていたが、名前を読んでみたのは初めてだった。
理由はあまりに単純だ。
マツコの知らない世界で特集されていたコツメカワウソの赤ちゃんがあまりにも可愛すぎたのだ。
正直、母性が爆発した。
一か月以上も悩んだわりに、結末はあっけないものだった。
そういうわけで、君の名はしばらくコツメだ。
この世に生まれくるとき、きっと素晴らしい名前をあげるから、今はこの思い付きにもほどがあるお名前を許してほしい。
父ちゃんも母ちゃんも、まだ見ぬ君が可愛くて仕方ないのだ。


可愛いと言えばところで、このあいだ急な不安に襲われた。
「 ほっぺがぱつんぱつんのおもちまるが生まれてきたらどうしよう」
というものだ。
紺氏はわたしの頬をつつきながら、それは確定事項でしょ、と冷めたセリフを吐いていたがこれは一大事なのである。
だってそんな赤ん坊、可愛くて仕方がない。
一日中舐めるように眺めまわし、隙あらばその頬袋のごとき餅をつつかされる呪いをかけられる。
紺氏はきっと、ほっぺたが落ちそうなほど膨れ上がった赤ん坊の凶悪さを知らないのだ。
バカめ。
それが我が子であってみろ。
暴力的なまでの可愛さに仕事辞めたくなるぞ。
まだまだエコー検査で顔の判別もままならないというのに、この母性の爆発ぶりも考え物ではあるが。


まあどんな子が生まれてこようと、自分の子がかわいくないわけがないのだけれど。
新生児室の窓ガラスに張り付いて「うちの子が一番かわいい」をやる自信が大いにあるわ、わたし。

5300円の焼肉定食。

無事妊娠4か月目に突入。
世の中の本やインターネットは、 そろそろつわりが落ち着いてきます、 と嘯いているが本当にこれは落ち着いているんだろうか。
落ち着いていると信じたい。でなければあまりに辛すぎる。
バケツを抱えて泣き叫ぶのも、 食事のたびにえづくのももうこりごりだ。
今日はお昼に叙〇 苑で5000円以上もする焼肉ランチをぺろりと食らったのでまあ 大丈夫だろうが。(おいしかった)
んな大層なもん食えてりゃ大丈夫だろうが、 とお怒りの方もいらっしゃるだろうが、 つわりというのは一筋縄じゃいかない代物なのだ。
基本的には、 二日酔いあるいは乗り物酔いを常にしている状態だと思ってほしい 。
おはようからおやすみまで余すことなく乗り物酔いだ。
それから急に吐く。
あのドラマみたいな突然「ウッ、ゲロゲロ」ってやつだ。
あんなもんあるわけないだろ、と思っていたが、あれはある。 マジである。
ケタケタ元気に笑っていた30秒後にはトイレに顔を突っ込んでい た。
ピーク時はこれが毎日続き、 もしかして自分は殺されるんじゃなかろうかとひやひやした。
まあ正直、いっそ殺してくれ、と何度も思ったが。
ここのところは、 胃の不快感と異常なまでの唾液分泌があるのを除けばだいぶマシに はなった。
吐かない日の方が多くなったし、 食べられるもののレパートリーも増えた。
においづわりに関しても、以前ほど過敏ではなくなったし。
つわり絶頂期に比べたら楽になってはいるから、「落ち着いて」 はきているんだろうな。
それでもまだ、油断はできない。
こいつの嫌なところは、 よくなったと思った翌日に嵐のごとき勢いでぶり返してくるところ なのだ。
つまり今日のわたしは焼肉ランチを平らげるほどの調子の良さだが 、明日は起き抜けからトイレとお友達の可能性もあるわけだ。
全く厄介である。終わるならスパッと潔く終わってくれ。
ついでに眠れぬほどの膨満感とのどの奥のつかえた感じ( ヒステリー球とか梅核気とかいうらしい)も連れ帰ってくれ。
こんなつわり真っただ中の妊婦にとって、 何かをおいしく食べられるというのは吐き気に振り回される毎日の なかの微かな希望の光なのだ。
ひとのお金で叙々〇を食べても許してほしい。(おいしかった)


こんな調子なので、 家のこともろくにできないまま職場と家を往復する日々だが、 そんなふがいないわたしにも紺氏は優しい。
文句も言わずに食事の支度をしたり、 率先して部屋の掃除をしてくれたりするスパダリっぷりだ。
よそ様に彼のことを尋ねられると、ちょこちょこ自慢している。
ただの嫌味なのろけにしないためのコツは、 散々やらかしてくれた過去のクソ歴史まできっちり語ってやること だ。
こうすることで人々は若干憐みのまなざしを向けるが、 印象はプラマイゼロむしろちょっとマイナスくらいのいい塩梅にな る。
謙虚な日本人、って感じでしょ。 本当のいいとこなんていうのはわたしが知って知っておけばそれで 十分なのだ。
そんなスーパーダーリン(研修中)の紺氏は最近、 マタニティブルーに悩むわたしの対処法を見つけ始めたらしい。
マタニティーブルーというのもつわりに次いでなかなか厄介な刺客 である。
もうとにかく、 何でもない瞬間に突然悲しみが襲い掛かってくるのだ。
ボロボロ泣く。 それはもうおもちゃを取り上げられた子どもみたいに泣く。 訳もなく。
これは気分が落ち込んで何にも手につかなくなるし、 何よりひどく疲れる。
当初は紺氏も突然泣き出すわたしにひどく困惑していたが、 賢い彼は適応能力も高い。
ある日またたまらなく悲しくなったわたしの、 泣き出すときにキュッと寄る眉間を指でこすり始めた。
何をするかと思えば、泣こうとしている人間の、 眉間をゴシゴシだ。眉間を。ゴシゴシ。
こいつはいったい何をしているんだと呆れたのもつかの間、 面白いことにこれが効果覿面なのだ。
不思議と、眉間をこすられていると涙が止まる。
(ちなみに、ゴシゴシをやめるとまた悲しくなってくる。)
紺氏は泣きそうなわたしの眉間をこすってはゲラゲラ笑っていた。
なんでも、 眉頭を上に引き上げた時の顔が情けなくて面白いんだそうだ。


ほんとうに、ウソみたいに優しいヤツである。
ある時わたしは思い立って、「 なんでそんなに優しくしてくれるの」と尋ねてみた。
すると紺氏は「一緒にいられることに感謝しているからかな」 と何でもないように言った。
100点である。 照れくさくなったわたしはドライヤーをかけているのをいいことに 髪の毛で顔を隠した。
ただ100点ではあるがひとつだけ、どうしても言わせてほしい。
悲しくて泣いている人間の顔で、遊ぶな。

そんで貴様ら誰なんじゃ。

 

四畳一間を覗きにきてくださった皆様に向けた風で、実はただ書きたいだけの主な登場人物紹介デス。

 

 

・透子(24)

 

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四畳一間の狂言回し。

カインドネスの神様に祝福されたとしか思えない上司のもとでライターとして働く元ホステス。

本と映画と横浜DeNAベイスターズの乙坂選手が好き。(好き。)

春の終わりに赤さんを授かり、なんと母ちゃんになる。

 

 

 

・紺くん(25)

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教育系分野の修士号を持ち、でっかい会社で働く生真面目サラリーマン。

ものすごい勢いで鼻をほじる、パンツを下ろしてからトイレに入る、などおちゃめな一面も。

同じく、春の終わりに父ちゃんになった。

顔の余白が堂本剛に似ている。

 

 

・赤さん(仮)

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透子のお腹にやってきた、いのちの始まり。

名前はまだない。

驚異のスピードで成長し続ける。いいぞ、その子だ。

2019年1月爆誕予定。